いちおし
本発明は,金属の塑性加工において,被加工物の変形過程を数千分の一以下の小さい応力で再現できるモデル材料で,金属材料の変形特性値である加工硬化指数(n値)を広い範囲で調整が可能なモデル材料を提供します。
概要
本発明のモデル材料は,ワックス等の固形蝋や動植物油脂,合成油脂,鉱物油,合成油,樹脂類等の数多くある高分子物質の組み合わせや配合割合を25℃における針入度と微粉末との配合比で管理して,従来の市販モデル材料では調整できなかった加工硬化指数(n値)を幅広く調整することができ,より多くの金属材料や加工条件の実験シミュレーションに対応可能となることを特徴としています。
技術分野
本発明は,鍛造加工,押出し加工等の金属の塑性加工において,加工中の金属材料の流動過程の解析および定量化が可能な実験シミュレーションに用いられる材料で,金属材料の変形過程を再現できるモデル材料に関するものです。
課題
モデル材料を用いた実験シミュレーションは,直視的で簡易なシミュレーション手法であり,少ない応力で変形する粘土状物質のモデル材料を使用することで模擬実験に使用される型も安価な樹脂製の型で十分です。しかしながら市販のモデル材料では,数多くの金属材料やその加工条件に最適化されていないという問題点がありました。
解決手段
高分子物質,微粉末,界面活性剤からなる粘土状物質のうち,高分子物質の25℃での針入度が5~200の範囲で変化させるとモデル材料の加工硬化指数を調整できます。また,高分子物質と微粉末との配合比を変えることによってもさらに加工硬化指数を調整できます。
すなわち,本発明は以下の手法で製造される塑性加工シミュレーション用モデル材料です。
(1) 25℃での針入度が5~200に調整された固形の高分子物質に微粉末の単独もしくは2種以上の混合物と界面活性剤を含む粘土状物質で,加工硬化指数(n値)を-0.60~0.50に調整したことを特徴とする塑性加工シミュレーション用モデル材料。
(2) 25℃での針入度が5~200に調整された固形の高分子物質10~99質量%,微粉末の単独もしくは2種以上の混合物1~90質量%に適量の界面活性剤を含有する(1)に記載の塑性加工シミュレーション用モデル材料。
(3) 高分子物質が,パラフィンワックス,マイクロクリスタリンワックス,蜜蝋,カルバナ蝋,木蝋等の固形蝋,ひまし油,牛脂などの不乾性の動植物油脂やステアリン酸などの合成油脂,流動パラフィンなどの鉱物油やワセリン,ポリブテンやシリコンオイル等の合成油,テルペン樹脂やロジンエステル,石油樹脂等の粘着付与樹脂の中から選ばれた少なくとも1種類である(1)に記載の塑性加工シミュレーション用モデル材料。
(4) 微粉末が平均粒子径40μm以下のカオリン,タルク,蝋石,炭酸カルシウム,ガラス粉,珪石,珪灰石,酸化チタン,酸化鉄,硫酸バリウム,カーボン等の金属,非金属の酸化物,炭酸化物,硫酸化物,炭素材料の中から選ばれた少なくとも1種類である(1)に記載の塑性加工シミュレーション用モデル材料。
キーワード
モデル材料,塑性加工,鍛造加工,押出し,実験シミュレーション
特許情報
【実施権】許諾中
【出願日】2008/2/20
【共有相手方】県単独