地域企業の『稼ぐ力』を技術で支える試験研究機関として
このたび,4月1日付けで工業技術センター所長に就任しました安藤浩毅です。よろしくお願いします。
世界的な半導体需要の増加等に伴い,九州圏内で半導体関連企業の大型投資が相次いで決定しています。
そのような中,令和4年3月,県の「かごしま未来創造ビジョン」が改訂され,その柱の一つに,「企業の『稼ぐ力』の向上」として,「生産性と付加価値の向上による産業競争力の強化」に関する施策が掲げられ,「研究開発や生産性向上の取組による付加価値の創出・向上」や「デジタル技術の導入やカーボンニュートラルの実現によるものづくり基盤の強化」が示されました。
当センターでは,県の施策および「かごしま製造業振興方針」に基づき,令和4年度に改定された中期業務計画(期間:令和4~8年)のもと,「技術支援」と「研究開発」に取り組んでおります。
具体的には,①「企業ニーズに基づく技術支援」,②「技術シーズの橋渡しによる県内産業の振興」,③「多様な連携によるものづくり支援」の3つの業務を柱とし,工業技術に関する支援機関として,「技術支援」と「研究開発」の両輪で業務を推進しております。
技術支援については,技術相談や依頼試験・設備使用,人材育成,情報提供など迅速かつ丁寧な対応を心掛け,利用者の皆様の満足度を高め,利用拡大に努めているところです。
研究開発では,その方向性を「地域資源付加価値創出」及び,「ものづくり基盤技術高度化」に定めて実施し,カーボンニュートラルの実現に向けた新技術の研究開発や,伝統工芸と新技術を組み合わせた新商品開発,DX(デジタルトランスフォーメーションエーション)による県内ものづくり企業の新産業分野への参入を支援する,ものづくり基盤の強化を図っているところです。
昨年度は,シラスのJIS登録により,シラス製品が県の公共事業に採用され,また焼酎関係では酒造りの技術がユネスコ無形文化遺産に登録されるなど,技術の継承と持続的発展の重要性を改めて感じたところです。今後もSDGsを意識した研究開発・技術支援に取り組んで参ります。
また,企業等との共同研究・受託研究については,昨年度は提案公募型受託研究8件を含む27件を実施しました。今年度も積極的に共同研究等を進めて参ります。
昨年度の研究成果として,5件の特許を出願し,県内外企業と1件の特許実施契約を締結,また商品化支援事例として,県庁18階かごゆいテラスでの事例報告会を通して,3社のものづくり企業の支援状況を紹介しました。
その他の保有特許を含め,研究成果,技術支援の効果についても,ホームページやメルマガ等で積極的にPR活動を行って参ります。
これらの取組に加え,大学等の研究機関や産業支援機関,各種業界団体等とも緊密に連携しながら,企業が有する強みを生かした研究開発,製品開発等の支援も行って参ります。
当センターは,前身である工業試験場が大正12年(1923年)に創立されてから102周年,昭和62年1987年)の工業技術センター開所から38年目を迎えます。地域企業の『稼ぐ力』を技術で支える試験研究機関として,また技術の拠りどころとして職員一同で取り組む所存ですので,これからもより一層の御利用をよろしくお願いします。
令和7年4月
鹿児島県工業技術センター所長 安藤 浩毅