●所長あいさつ
●令和4年度事業計画
●機器紹介
万能実大強度試験機
熱量測定装置
●お知らせ
設備使用料・手数料の新設と改定
退職
●TOPICS
九州・沖縄産業技術オープンデーで最優秀賞受賞
蟹江松雄賞(功労賞)を受賞
Contents
所長あいさつ
企業の『稼ぐ力』を担う
技術支援機関として
県内企業の皆様には,かねてより工業技術セン ターの業務運営に御協力いただき,厚くお礼申し 上げます。 4月1日付けで工業技術センター所長に就任しま した。よろしくお願いします。
さて,令和4年3月に改訂された「かごしま未来 創造ビジョン」では,人口減少・少子高齢化などの 従来課題に加え,新型コロナウイルス感染症拡大や 社会経済情勢の変化等を踏まえ,鹿児島の目指す 姿や施策展開の基本方向が示されました。
ビジョンの柱の一つには,「企業の『稼ぐ力』の向上」が掲げられ,中でも「生産性と付加価値の向上 による産業競争力の強化」に関する施策では,企業が有する独自の技術やノウハウなどの強みを生かした研究開発,製品開発等の支援を当センターが 担うことが示されています。
当センターでも業務の基本方針を明らかにし,研究開発の方向性を示した「中期業務計画(期間:令和4~8年度)」を改訂しました。
業務の柱は,
① 企業ニーズに基づく技術支援
② 技術シーズの橋渡しによる県内産業の振興
③ 多様な連携によるものづくり支援
で,県内企業の工業技術に関する支援機関として取組を掲げております。
技術支援では,技術相談や依頼試験・分析,設備 機器利用など,地域企業の技術課題解決に向けて迅速かつ丁寧な対応に努めます。
また,昨年度末に整備した「ものづくり企業」の設計や試作加工の「デジタル化」を支援するシステム や,電子機器の最新規格に対応した電波暗室等の利用拡大に努めます。
研究開発では,地域の「強み」を生かした商品の付加価値向上による差別化,国内外の市場を意識 した新商品の開発に取り組む「地域資源付加価値 創出」と生産性向上や高品質化及びコスト低減を図り,県内企業の競争力やものづくり基盤技術の強 化に取り組む「ものづくり基盤技術高度化」に定め,県内企業のニーズに対応した技術開発や製品 開発に努めます。
今年度からの新規テーマとして「火山ガラス微粉 末を用いた機能性建材及び化粧品原料の開発」や 「逐次鍛造による局所増肉成形法の開発」など10 テーマに取り組むこととし,地域資源等を活用した新産業分野への参入とデジタル技術の活用による ものづくりの基盤強化を図ります。
また,企業等との共同研究・受託研究について は,昨年度は提案公募型受託研究3件を含む29件を実施しました。今年度も積極的に共同研究等を 進めます。
昨年度の特許登録は,「イモ加工食品の製造方 法」,「ろう付装置及びろう付方法」,「水硬性石灰及 びその製造方法」の3件で,他の保有特許についても有効活用を図るため,知的財産活用推進員とも連携を図り,特許の実施許諾を意識した企業訪問を行うとともに,ホームページやメルマガ等で積極的にPR活動を行います。
これらの取組に加え,大学等の研究機関や産業 支援機関,各種業界団体等等とも緊密に連携しな がら,企業が有する強みを生かした研究開発,製品開発等の支援を行います。
企業のニーズや時代の要請を的確に捉え,企業の『稼ぐ力』の向上に貢献できるよう,今後とも職員一同で取り組みますので,これからもより一層の御利用をお願いします。
令和4年度事業計画
企画支援部
当センターの技術支援業務と研究開発業務の総合的な企画立案・調整を行います。県内企業の製造技術の向上を図るために工業技術に関する調査研究及び情報提供,産学官連携に関する連絡調整,技術相談・指導,試験研究の管理調整を行います。
また,工業デザインや工芸品に関する技術相談,依頼分析・試験等の技術支援と研究開発を行います。
●研究開発企画調整事業
研究開発の円滑な業務運営を図るために,産学官の委員により構成される研究開発推進会議や新規研究課題検討委員会を開催するなど,総合的な企画調整と研究開発の進行管理を行います。また,各企業団体や産業支援機関,大学等との産学官連携や,企業シーズ・ニーズのマッチング,そして共同研究等を通して,企業活動を支援します。
試験研究機関や大学等への研究員の派遣や,他機関から講師・研究員等の招へいを行い,当センター研究員の技術力向上や他機関とのネットワーク形成など研究機能の充実を図ります。
また,(地独)神奈川県立産業技術総合研究所と当センターとの間で,研究成果発表会での相互発表や,各種研究会・講習会への相互参加などで交流しています。今年度も人的交流を継続し,技術情報を交換することにより,研究開発や技術支援に役立てます。
●工業技術支援事業
鹿工技ニュース,年報,研究報告書等の刊行物の発行,研究成果発表会の開催,ホームページや,メール配信サービス「KIT-enews」による情報発信,技術シーズ集や特許シーズ集などの情報提供や科学技術文献データベース「JDreamⅢ」での情報検索などにより,県内企業の技術開発や新製品開発を支援します。
県内の業界・企業の人材育成を目的として,技術指導等の受け入れを実施します。さらに企業技術者の技術力向上や新分野進出を目的として,各種技術講習会の開催や,当センター職員と企業技術者で組織された研究会活動を支援します。
製品の品質管理や性能評価,不具合や事故原因の解明等,企業の生産活動に伴う技術課題の解決を支援するための依頼試験・分析,設備機器の開放等の業務を実施し,企業活動を支援します。
工業技術に関する様々な技術相談・技術指導や,企業ニーズに応じた講習会・セミナー等を開催します。また,ウェブサイトの相談窓口「技術相談110番」に対応します。
●公募提案型受託研究事業
企業や大学等との共同研究や受託研究,国等が募集する提案公募型事業への応募・参画について,積極的な外部資金獲得に取り組みます。
《研究テーマ》
1 薩摩焼割付文様を活かした工芸品の開発
薩摩焼割付文様は,主に白薩摩の上絵に用いられる金彩を用いた幾何学の文様で,古くは江戸時代より描かれています。しかし,白薩摩焼の窯元の減少と,窯元が新規文様を創出する機会の減少により,描かれる機会が減ってきています。
そこで,割付文様のデータ化・図形化する手法を研究し,他の技術と複合利用し,新規文様や薩摩焼の新商品創出を行います。また,当センター所有のレーザ加工技術を利用して,新規文様を他の工芸品へ展開する工芸品開発を行います。
2 立体造作物の簡易CADデータ化
県内の木工,金属,ガラス等,様々な業界から既存製品・部品のCADデータ化に関する相談が多く寄せられています。しかし,立体形状を精密に測定する装置は高価で,なおかつデータの後処理は高度な技術と時間を要し,この工程の効率化が大きなニーズとなっています。
そこで,本研究では立体形状を容易に測定し,しかもCADが扱いやすいデータに変換する技術開発を行います。